私の知らない時代のこと
テレビで、安保の事を特集でやっていた。
今、世の中は、「戦後」ではなく、「戦前」になろうとしていると。
小さい頃、学校の図書館、地域の図書館に「はだしのげん」の本があった。
私はこの本に吸い込まれるようにはまった。
今の小学生、中学生にはこの本は過激すぎるからと、読まない方向になっていると、
地元の学校の先生をしている友達から聞いたんだけど、
この本を読んだからこそ、日本の戦時中のこと、知ることができたように思う。
決して、生活にゆとりはないけれど、家族が支えあってけんかしたり、笑いあったり、とても穏やかだった。
おばあちゃん、おじいちゃんからも戦争の話を聞いていたけど、
もっとリアルに思えた。
いろんな意見もあるけれど、
日本がしてしまったこと、そして海外との悲しい現実、いろんなことが詳しくかかれていた。
実体験なので本当に心の叫びが伝わってくる。
きっと、もっともっと詳しく書くには制限があったんだと思う。
だけど、私はこれを読んだからといってなにかに対して反感的な感情はもつことは一切なかった。
もちろん、今も。
ただ、その時代を知らない人たちが増えていく中で、またこういう流れになろうとしているのも不安。
またこうなってしまうのかもしれない。
いつか、この本も出版されなくなるのかもしれない。
読むことが違法になるのかもしれない。
徴兵制の話でも今朝ニュースで持ち上がっていたけど、
今はないだけで、先のことはわからない。
そうなったら、まだ幼い息子たちはどうなってしまうのだろうと、不安になる。
そのことを考えてか、海外にいった友達もいる。
きっと、そうなってしまったとき、海外にもいけなくなってしまうかもしれない。
すべて法律は知らない間にかわっているのかもしれない。
小さい頃、はだしのゲンを読んでから、一時期友達に気持ちが悪いと疎遠にされたことがあった。
私は世界の戦争のことを詳しく知りたくなって、図書館に通い、いろんな時代の本を借りているところを友達に目撃されたからだ。
学校の授業でも習ったけど、そこにはなぜそうなったとか、何があったとかそんなことは習わない。
原爆のことも、試験に出てくるのは、日にちと、時間ぐらい。
私の父は昭和21年の3月に生まれた。
おばあちゃんは戦時中、妊婦だったわけだ。
どれだけ大変だったことだろうかと思う。
おじいちゃんは戦争へ行き、銃で撃たれた。
指もなかった。
小さい頃、
「扇風機に指をつっこんだらこうなったんじゃ」
といって、私に扇風機はあぶないから指をいれるな!というためにいつも指をみせてくれたけど。
いろいろ知ってから違うって思った。
おじいちゃん、おばあちゃんの記憶の中にはまだあるんだよ。
だって、そのときも、もう大人だったんだもの。
私たち、一人ひとりに、なにができるんだろう。
日々暮らしていくことの大変さもありながら、
悲しいことばかり考えて生きていくのはつらすぎる。
友達とたわいもない話をしたり、
好きな話をしたり。
だけど、知らない時代の話もじっくりしてみたい。
核家族が進んで離れて暮らす、おじいちゃん、おばあちゃんはもう高齢だ、なかなか話す機会もない。
私の祖父母はみんな他界している。
私の子供たちは戦争の知らない祖父母の中で育つ。
子供がもう少し大きくなっていろんなこと、理解するようになったら
時代はどうなっているのかな。